牛の知らせ

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何だろう。とても嫌な予感がする。本来ならこういうのを虫の知らせと言うが、うちでは牛の知らせと言う。
うちは酪農家だ。牛を飼っている。しかしただの牛ではない。乳を搾って出てくるのは、白い牛乳ではない。違う色のついた牛乳だ。青だったり赤だったり、透明だったり黄色だったりする。もちろんこんな色付き牛乳は出荷できないので、本来ならば捨ててしまうところだが、一度だけ度胸試しにと青い牛乳を飲んでみると、普通の牛乳と変わらなかった。それ以来、私だけが色付き牛乳を飲んでいる。色付き牛乳を飲むようになって、私はある事に気が付いた。青い牛乳を飲んだ日は良い事が起こるのが分かり、黄色牛乳を飲んだ日は悪い事が起きるのが分かるようになった。だから私は黄色牛乳を飲んだ今日、嫌な事が起こるというのが事前に分かるのだ。ああ、鉄骨が落ちて来て危ない目に遭うのか。違う道から行こう。これも黄色牛乳、牛の知らせのおかげだ。
公開:22/07/31 09:19

富本アキユ( 日本 )

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