花火師の憂鬱

0
2

風呂上がり、浴衣に着替えて冷蔵庫からビールを取り出す。プルタブを引くと『プシュッ!』ではなく『パァンッ!』と弾ける音がした。
グラスに注ぐと液体の中、炭酸で出来た色とりどりの花が咲いては消える。
目で楽しむのもいいがビールは味わってこそ。口にすると『しゅわしゅわ~』ではなく『ドンッドォンッ!』と喉を刺激する。冷たいのに熱い。これぞ花火ビールだ!
花火ビールを飲み干した後は水を一杯飲む。喉に残る花火の熱が消えていく。花火ビールの酔いが醒める。これで明日も二日酔いを起こす心配はない。
あとは花火の余韻を夢の中で楽しむとしよう。

と、まあこんな風に素敵に不思議な花火ビール。大好評で夏場は売れに売れている。
ただ…花火と同じで何故か夏の間しか売れない。原因もよく分からない。
それなのに毎年懲りずに秋冬春と大量に作り、余らせてしまう。
花火ビールの在庫の山を見る度にそれを作った花火師は憂鬱になる。
公開:22/07/30 20:42

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容