花火師の憂鬱
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俺はねずみ花火専門の花火師をやっている。
ニッチな分野だ。誰も俺の技術を受け継ぎたいとは思わないし、誰もが嘲笑う。
40を越えても独身の身。きっとこのまま孤独死するんだろうと思っていた。
「ぜひ、貴方様と夫婦になりとうございます」
そう言って年若い娘が俺を尋ねて来た時は驚いた。人の言葉を話すネズミだと気づき二度驚いた。まるでネズミの嫁入りだ。
俺は考える。
ネズミとはいえ、孤独死するよりはマシだ。俺はネズミの娘と夫婦となった。
娘は働き者で器量良しだった。ネズミとはいえ、こんな俺には勿体ない妻だ。何でこんな俺に嫁ごうと思ったんだろう?
「私は以前、蛇に襲われていたところを旦那様のねずみ花火に救われました。旦那様の花火は今やネズミ界隈では誰もが知るところなのです。旦那様、どうか花火師としての自信を持って下さい」
俺の妻は本当に良く出来た女性だ。
俺の憂鬱を、いつも杞憂へと変えてくれる。
ニッチな分野だ。誰も俺の技術を受け継ぎたいとは思わないし、誰もが嘲笑う。
40を越えても独身の身。きっとこのまま孤独死するんだろうと思っていた。
「ぜひ、貴方様と夫婦になりとうございます」
そう言って年若い娘が俺を尋ねて来た時は驚いた。人の言葉を話すネズミだと気づき二度驚いた。まるでネズミの嫁入りだ。
俺は考える。
ネズミとはいえ、孤独死するよりはマシだ。俺はネズミの娘と夫婦となった。
娘は働き者で器量良しだった。ネズミとはいえ、こんな俺には勿体ない妻だ。何でこんな俺に嫁ごうと思ったんだろう?
「私は以前、蛇に襲われていたところを旦那様のねずみ花火に救われました。旦那様の花火は今やネズミ界隈では誰もが知るところなのです。旦那様、どうか花火師としての自信を持って下さい」
俺の妻は本当に良く出来た女性だ。
俺の憂鬱を、いつも杞憂へと変えてくれる。
公開:22/07/30 20:33
ねずみの嫁入り
元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。
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