花火師の憂鬱

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「お前にはこれから銃弾を作ってもらう」
俺の花火工房にやって来た兵士がそう命令した。銃を突き付けているところ拒否権はないのだろう。俺は命令されるがまま、銃弾を生産した。
弾を渡すと兵士は早速試し撃ちを始める。
パンッ!と乾いた音がしたかと思うと遠くで花火のように火球が弾ける。
「これは凄い!これさえあれば敵をもっと殺せるぞ!」
パンッ!パンッ!と何度も楽しそうに試し撃ちをする兵士。その姿を俺は憂鬱な気持ちで見ていた。俺の気持ちは届かないのか…
「何で俺は敵を殺したいと思ったんだろう…」
兵士の呟きに顔を上げる。あの銃弾は小型の打ち上げ花火だ!あれを見て平和な心を取り戻してくれ!
「俺は兵士だ。敵に銃を必ず向ける。だがこの弾を敵に向かって撃つ事はしない。花火は他人に向けて撃ってはいけないもの。何より、これで和平の花を咲かせるのが俺の仕事だからな」
微笑む兵士に俺の気持ちはしっかり届いていた。
公開:22/07/27 20:56

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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