ナイーブな告白

加藤は同僚の白川のことが、好きだった。毎日今日こそは思い切って告白しようと思うのだが、なかなかその勇気が出ない。そんなある日友人の門倉が話しかけてきた。
「おい、知ってるか？白川さん、今月いっぱいで辞めるらしいぞ」
「えっ、辞めるって何でだ？」
「さあ、細かい事情までは、おれもよく知らないけどな」

「加藤くん、話ってなに？」
昼休み加藤は、白川を会社の屋上に呼び出した。
「白川さん、実は以前から君のことが好きだったんだ。よかったら、付き合ってほしい」
断られることは覚悟の上だったが、彼女は笑顔で頷いてくれた。
「私も前から加藤くんのことは、好きだったの。だけど確かめる勇気もなくて。とても嬉しいわ」
と言って、彼女は彼を抱きしめた。
「しかし君が会社を辞めてしまうのは、残念だな」
「えっ、私辞めないわよ」
と言い、彼女は微笑んだ。
そうか、門倉にまた借りができてしまったな。