スイカ

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それは夏の果実だった。緑色と黒が混ざった色をしていて、割ると中には赤い果肉がたっぷりと詰まっていた。太陽の照り付ける暑い日には、キンキンに冷えたスイカが美味しい。スイカを食べると種を口の中でより分け、吐き出す必要がある。スイカ自体は好きだけど、その作業が面倒で、僕はスイカがあまり好きではなかった。

「スイカ切ったよ。食べな」

おばあちゃんの家に帰省したら、必ずスイカを切ってくれる。僕は種を分けるのが面倒だなと思いながら食べる。

「スイカの種、置いておいてくれるかい?畑でスイカを作ってみようと思ってね」

おばあちゃんがそんな事を言った。僕は食べたスイカの種を置いておいた。それから一年が経ち、また夏が来た。
大きく育ったスイカは、また実を付けていた。こんな小さな種から大きく育つ生命の神秘を肌で感じた僕は、スイカが好きになった。
今年も美味しいスイカが成りますように。
公開:22/07/29 09:24

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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