本音要約筆記

要約筆記という、ボランティアがある。中途失聴者や難聴者のために、人の話を文字で要約して伝えるものである。AIの方がより正確に伝わる面もあるかもしれないので試しにAIにさせてみることになった。

「前向きに善処いたします」
という、政治家の発言を
（いや、そんな金や票に繋がらない問題はノータッチだ）
とAIは要約した。

「よく考えてみなくては、いけない問題だと思います」
という言葉を
（いや、おれだって忙しいんだ、そんな問題は金や時間のある奴に任せておけばいいんだ）
と要約した。

当然読んでいた人たちは怒り出した。しかし政治家の方は、何をみんなそんなに怒っているのだろうと戸惑うばかりだった。

難聴の人たちは、そうか偉い人というのはこういう風に建前を使い分けるのだなという点は勉強した。

政治家の方もどうせバレるならと、本音を言うようになった。多少は建設的な議論が出来るようになった。