花火師の憂鬱

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花火師は私の夢だった。しかし私が雨男であった為、誰も弟子入りさせてはくれなかった。
夜空に咲く大輪の花は私には作れない…そうやって夢を諦めかけたある日、運命の出会いが訪れた。
テーマパークで目にしたウォータースクリーン。これなら私でも花火を作れるかもしれない!
その日から私は雨の中で輝く光の花火を作り始めた。
「無理だ」と笑われた。
「それは花火ではない」と怒られた。
「バカ息子」と親に勘当された。
上手くいかず、味方のいない日々に何度も挫けそうになった。
だが私は作り上げた。雨の中、夜空に咲く大輪の花を。
道行く人が私の作った無音の花火を見つめる。いや…音ならあるか。
その雨音がなければ私の花火は打ち上げられない。
雨の日は憂鬱かい?そんな日は空を見上げてみるといい。
花火が終わった後、運が良ければ虹が見られるかもしれない。
それは夢のような光景だろう。実際、私の夢が叶った証拠でもある。
公開:22/07/28 20:56
月虹

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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