レプリ缶

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レプリ缶の中に彼女の一部を入れ、よくかき混ぜ蓋を閉める。10分後に開封すると中から彼女が現れた。
彼女は僕に冷たい目を向ける。「貴方とはもう終わったの。気安く呼び出さないでくれる?」
そう言って部屋を出る彼女。早く開けすぎたせいか外に出た途端、泡となって消えた。
ああ…また失敗だ。僕を愛してくれていた頃の彼女が作れなかった。
僕は1年前に×印をつける。そして残る1年1カ月前の彼女の髪の毛をレプリ缶へと入れた。今度こそ僕を愛してくれよ…

そんな彼の様子を私は別室で見ていた。
2年前の彼はこんなにも私を愛してくれていたのに何で半年前の彼は他の女と浮気したのだろう?
まあいいか。2年前の彼はこんなにも私を愛してくれている。私はレプリ缶に刻んだ2年前の彼の髪の毛を入れて大量生産する。
私は彼と今も付き合っているんだ。本物の彼は私が殺してしまったけど、レプリカの彼がこんなにもいるから大丈夫だよね。
SF
公開:22/07/28 20:51

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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