舞茸

舞茸を食べると華麗に舞えるようになるらしい。そんな話を聞き、ダンサーの私は舞茸を買いに行った。
「あなたは舞茸に踊らされてますよ」
「誰！？」
「きのこマイスターの後藤です。あなたは舞茸の罠にどんどんハマッていっている」
「どういうことですか？」
「舞茸を食べたらダンスが上手に踊れるようになるなんて話、あり得ません。それは舞茸が撒いた噂ですよ」
「舞茸は一体どうしてそんなことを？」
「きのこの年間消費量ですよ。東京の中では、しめじ茸が年間消費量で一位なんです。都会に憧れる舞茸としては、東京で一位になるのが夢なんですよ。だから消費して欲しくてそんな噂を流したんです」
「舞茸も東京という大舞台で舞いたかったんですね」
「都会に憧れる舞茸は、お洒落な料理になる事を望んでいます。和食、洋食、それではなく、いつかスイーツになることすら」
「舞茸スイーツ……」
その夢は、いつか叶う日が来るのだろうか。