半バーガー

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あの子供、いつもハンバーガーショップの前で眺めているな。毎日いる気がする。俺はついに声をかけた。

「どうしたの?店に入らないの?」
「お金ないから……」

さてどうしたものか。俺がこのまま何も言わずに買ってきてあげるべきか。でもそれだとこの子が気を使ってしまう。俺は手に持っていたハンバーガーを見せた。

「知ってるか?ハンバーガーってのはな。半バーガーなんだ」
「ん?」
「こうやるのさ」

そうして俺は、ハンバーガーを半分に
割った。

「ハンバーガーは、半分にして誰かと一緒に食べるのが正しい食べ方なんだ。アメリカじゃ当たり前なんだぜ。ほら、半分やるよ」
「いいの?」
「ああ、どうせ一人じゃこんなに食べられないからな」

その十年後。テレビでは半バーガーの特集がされていた。あの子が芸能人になり、貧乏エピソードをテレビで披露したからだ。それから半バーガーはブームになった。書籍化もされた。
公開:22/07/25 09:19

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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