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「犯人は信子さん、あなたです!」
日本を代表する名警部の百津川は、そう言って胸を張った。
「ひどいわ。何で私がそんなことを…」
「お見通しだよ。秘書のあなたは社長である源三さんの飲み物に毒を入れて殺害したんだ。そして心配して駆け寄って来た源三さんの息子忠広さんの服のポケットに、毒の入っていた袋をいれたんだ。こうすれば忠広さんが犯人のようにみえますからな。
ただ被害者の執念でしょうな、源三さんは犯人はお前だと示すように、あなたの袖のボタンを千切って果てた」
「いやそれは、源三さんが苦し紛れに握ってきただけで…」
信子の抗弁虚しく逮捕されたが、犯人は忠広だった。他の刑事たちも内心、百津川の勇み足ではないかと思ったが天下の名警部百津川の名声を傷つけ波風を立ててもつまらんと思い、黙っていた。
百津川も内心ミスったかと思ったが、それを言うのはプライドが許さないので黙っていた。
真実とはそんなものだ。
ミステリー・推理
公開:22/07/24 22:52

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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