花火師の憂鬱

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天国まで届くロケット花火を作って欲しい。
涙でにじむ手紙には僅かばかりの紙幣も入っている。これっぽっちで作れるわけがない。
だが俺はその依頼を受けた。手紙の送り主は幼い子供だろう。文字を見れば分かる。
この子は余命いくばくもない母親の死を受け入れている。その上で天国に旅立った母に花火を届けたいと願っている。
この空の向こうに天国なんてあるわけない。それは分かっている。だけど理屈じゃないんだ。
俺は挑戦してみたいと思った。ロケット花火をどれだけ高く飛ばせられるか。俺の花火は天国に辿り着けるのか。
そうして何度もロケット花火を打ち上げていたある日、空から死神っぽい人物が落ちてきた。
がらんどうであるはずの死神の目の部分が白黒に点滅している。
死神ははっと目を覚ますと怒って俺からロケット花火を没収した。
俺の花火は神様には届いたが天国には届かなかった…そんなロケット花火で良ければ送るとしよう。
ファンタジー
公開:22/07/26 20:48

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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