帰り道の忘れ物

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「ママ、おトイレついてきて」
夜中に娘に起こされた私は寝ぼけ眼で娘をトイレに連れていく。
トイレから帰る道中、娘が「もう明日からおトイレついてこなくていいから」と言うものだから驚いて目を覚ました。
「もう大丈夫なの?」
「うん」
力強く頷く娘。
「あのね。今度からこの子が一緒におトイレついてきてくれるの」
娘が差し出したのはトイレの隅になんとなくインテリアとして置いていた兎のぬいぐるみ。娘はそれを気に入ったのか、大事そうに握りしめて眠った。私も寝るか。

『今日から僕が夜のおトイレついて行ってあげる』
夢の中、兎のぬいぐるみが幼い私に話しかけてきた。私はぬいぐるみとトイレに行く。
そういえば私もあれから一人でトイレに行けるようになったんだ。
でもいつしか大人になり、ぬいぐるみの存在を恐怖とともにトイレに置き忘れていた。
私はあのぬいぐるみを、トイレの帰り道の忘れものを夢の中で思い出した。
公開:22/07/25 21:13

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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