雨女先生

自他ともに認める雨女の私は医者である。
医者は私の天職だ。いや、私だけでなく全ての雨男・雨女の天職である。
雨女である私は今日も目に見えない雨を病院に降らせる。患者はその雨の影響か足取りが重い。憂鬱そうにため息ばかり吐いている。病院内の天気はいつだって目に見えない雨が降る。
まるで雨に濡れた野良犬のような顔の患者。不安そうな表情で私を見つめる。
その患者は私の治療によりケロッと良くなる。
私の雨は目に見えない蛙を呼ぶ。カエルとは帰る。自宅療養、もしくはすぐに治るを意味する。
雨が降ると蛙は喜ぶ。先程の患者は喜びの余りピョンピョン跳ねている。ケーロ帰ぇろと病院を後にする。
雨の後には虹が現れる。虹を見て、患者は晴れやかな表情を浮かべる。
雨男・雨女は人を癒す力を持っている。
あとは医者になる覚悟と知識さえ持っていれば大丈夫だ。
古池や蛙飛びこむ水の音。君も医者という仕事に飛び込んでみないか？