とあるカップルの聖夜

雪降るクリスマスイブ。彼女に「イルミネーションでも見に行かないか？」と聞くと眉をひそめられた。
「こんな寒い日にあんな人の多いところ行ってどうすんの？ヤだよ。行くなら一人で行って来て」
外より冷たい彼女の態度。寒がりで寂しがり屋の僕はピタっと彼女にくっつく。
彼女が読んでいる本に僕も目を落とす。途中から読み始めたけど凄く面白かった。今度最初から読むとしよう。
「…いつまでくっついているつもり？ちょっと暑いんだけど」
本を読み終えても離れない僕をジト～っと見つめる彼女。
離れないよ。だって僕はまだ寒いんだから。
彼女は立ち上がるとコートを着た。僕も出かける準備をする。
外に出るとさっきまで降っていた雪がぴたりと止んだ。彼女は良い子で晴れる屋。天気を操るのはお手のもの。
彼女はサンタさんから貰った超能力で雪を止めると僕に車を出すよう指示する。
僕は君のトナカイだ。君を乗せて、どこへでも行くよ。