処世術

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昔々若い夫と妻がいた。しかし旅の途中で賊に襲われ、妻の方は命を落とし金を奪われた。夫が用事のために席を外していた時の出来事だった。
そのことを涙ながらに宿屋の飯場で訴えた。偶然とある大名がその場に居て話を聞いていた。
私もあなたを不憫に思うので、ウチの婿にならないかと男に持ち掛けてきた。妻を亡くしたばかりの心痛もあったが、悪い話でもない。ありがたく、その話を受け入れた。
新たな妻と結婚し、一年くらい経った頃家が賊に襲われた。
家の者たちはみんな妻を匿い、賊に妻の居場所を訊かれても知らぬ存ぜぬと惚けた。そしてみんな賊に斬り殺された。
残るは男とどこかに隠れている妻だけとなった。男は必死で命乞いをした。
賊からお前は助けてやるが、妻の居場所を教えろと言われた。畳の下に隠れていると教えた。結果妻は連れ去られ男は助かった。
ああよかったと男は安堵した。またこの手口を繰り返そうかなと思った。
その他
公開:22/12/18 11:11

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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