受験生の白昼夢

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眠い。夜まで勉強したせいかも
うとうとして自分の体が揺れているのを感じる
ゆらゆら、ゆらゆら…
ーーここは大事なポイントだぞー
ガタンゴトン、ガタンゴトン…
ーー終点、終点、ご乗車まことにありがとうございましたー
ふと目を覚ますと、私は電車の中にいた
窓の外に広がる景色はパステルの絵のように穏やかだった
『お客さん、切符を拝見』
いつの間にかそばにいた車掌さんが、白い手袋で覆われた手を出す
「あの…ないです」
『なるほど、あなたはまだ降りられない方のようですね』
私は焦った。なぜかこの電車から降りたくてたまらなかったから
慌ててポケットを探ると、手に固くて小さな紙が当たった。これだ!
「あの、これっ…」

気づくと私はいつもの教室にいた
「よかった、降りられた…」
『何寝てたんだ〜?』
そばには青筋を立てた先生が。
『まだ受験からは降りられないぞ』

私が手に握っていたのは、単語帳だった。
ファンタジー
公開:22/12/17 20:43

かさ( 愛媛 )

来年以降のいきかたが決まりましたヽ(=´▽`=)ノ

コメント読んだりお返事したりするのはとても好きなので、気楽にコメントいただけると嬉しいです。

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