生き返り

何故か全人類は、死んでも一度だけ生き返ることのできる肉体になった。しかも映画などの話でよくある、性格が凶暴になるとか生き血を啜るようになるということはなく、性格は至って穏やかになり食べ物も何も食べなくても生きて行けるようになった。
幼くして亡くなってしまった場合でも、元の姿に戻り病気に罹ることも無く八十歳前後まで生きることができるようになった。その後子供を産み育てることもできた。何より悲しみに打ちひしがれていた親にとっては奇跡のような話だった。
老人が亡くなった場合は、また数年後に本当の死を迎えることが多かったが、その間に遺産や遺品の整理をすることもできたのでいい猶予期間かもしれなかった。
DVやハラスメントなどの被害者が加害者を殺してしまっても、判決に執行猶予が付く場合が多くなった。ただし生き返った人を殺した場合は罪が重くなった。
一度目の生か二度目の生かの証明書の着用が義務付けられた。