騙され続ける

私の両親はとても優しい。でもこの人達は私の本当の両親ではない。
私は本当の両親にネグレストされていた。おぼろげな記憶ではあるが、あの時の恐怖は今も体の奥底に沁みついている。
だから私はこの人達の前で本当の娘であるかのように振る舞う。いい子であり続ける。
それにこの人達も闇を抱えている。この人達にはその優しさ故にワガママで手が付けられなくなった実の娘を殺そうとした過去がある。
私と彼女、どちらも瀕死だった。そんな私達が入れ替わった。
今にしてみれば、この世界が私のいるべき本当の世界だったのだろう。
優しい両親に優しい私。私はこの人達を騙し、娘として生きる。
この人達は私が実の娘でない事に気付いている。でも騙され続けている。それは罪の償いであり、現実逃避でもある。
それにしてもパラレルワールドって本当にあるんだね。
ねぇ、貴方の住むその世界って本当に貴方のいるべき世界？貴方、騙されていない？