ぎゅーっ

「お前の母さんはギャンブル依存症なんだ」
叔母さんが困った顔で私に教えてくれた。
「ママね、ギャンブル依存症なの。ギャンブルが大事なの」
離れたくないと涙する私に母はそう言った。私よりギャンブルが大切なの？
「いいえ。一番大切なのは貴方。でも今のママはギャンブルがしたいの」
やっぱり私よりギャンブルじゃない！
「泣かないで、ママはいつだって貴方と繋がっているわ。さっき渡したへその緒。それを握り締めてママを想って。そしたら貴方もママと繋がれるわ。離れていても私は貴方の傍にいるわ」
その言葉を信じ、私はへその緒を握っては母を想い続けた。
へその緒を通じて、母が行っているギャンブルの正体を知った。
ギャンブルの名前は手術。難病の母は治る可能性が少しでもあるのなら成功率の低い手術でも進んで受けた。
私は毎日へその緒をぎゅーっと握っては手術に耐えられるよう、想いと一緒に私の体力も母に送り続けている。