ぎゅーっ

「あれ？橘さん、今日はあまり凝っていませんね？」
『分かる？実は息子が今度結婚相手を連れてウチにやってくるの。今まで女手一つであの子を育ててきたから、やっとこれで肩の荷を下ろせると思ってね』
「そういう事ですか…でも、相手がどんな人か見るまで心配じゃないですか？」
『心配なんてしてないわ。だって息子を信じているんですもの。きっといい人を連れて来るに違いないわ。でも息子は親の私から見てもあまり出来のいい子じゃなくてね…そんな息子を好きになってくれた彼女さんが苦労しないか心配よ…』
「息子さんより彼女さんなんですね」
『そりゃそうよ！息子を甘やかすのはもうおしまい。これからはぎゅーっと絞ってやるんだから！』
「それじゃ私もぎゅーっと絞りますね。どうです？痛くないですか？」
『あ～、丁度いいわ。もっと強く押してもいいわよ』
「それじゃ遠慮なく、これからもその背中を押させてもらいますね、お義母様」