君がいない

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仕事からの帰り道、少し遠回りして電飾屋に寄った。悪い癖が出て何時間か悩んでしまったが、足りない分はこれでなんとかなるだろう。
「ただいま」
その声に返事はない。玄関で靴を脱ぎ、揃えていたところで飼い猫のルルが擦り寄って来た。
「起きてたのか」
頭を撫でてやろうとしたらかわされた。気まぐれだとの通説の通りルルは容赦ない。
「さてと」
部屋着に着替える前にリビングに向かい、昨日、届いた電飾を確認していく。どうやらこれで足りそうだ。ただ、自分ひとりで飾れるのかどうか、少しばかり不安が残るのだけれど。

君がいないクリスマス。いかに君に頼りっぱなしだったか痛感する。ひとり息子の聖夜は年末まで帰って来ないが、君がいないからといって、君が楽しみにしていた毎年恒例のハウスイルミネーションを絶やすわけにはいかない。
「さて。どうしたもんか」
何個もの段ボール箱に詰められた電飾を庭に運び、思わず独りごちた。
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公開:22/12/15 14:56
更新:23/03/13 01:12
クリスマス イルミネーション 死ネタ注意 ののの糸糸 切ない

ののの糸糸( Ito Nonono )

ツイッター(https://twitter.com/no3_ito)や創作系SNS、くるっぷ(https://crepu.net/user/no3_ito)に140字小説(ツイッターノベル)や54字の物語を投稿している他、上限2000字で掌編小説を書いている昭和女子。

野辺りな名義でユーザー登録していましたが、登録したツイッターアカウントで創作活動をしなくなったのと退会が出来なかったため、野辺りなは無期限活動停止とし、現在、創作活動中のツイッターアカウントで新規登録してこちらで引き継ぐことにしました。

『今日は何の日』や『書く習慣』というアプリのお題で書いた散文をまとめて400字にしています。

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