ペンは剣よりも強し

ペンは剣よりも強し。この理念を柏崎は誰よりも強く持っていて、新聞社に入社した。
少年犯罪を実名報道しようとした。当然上司から止められた。
それではと大企業の不正を告発しようとした。それも上司から止められた。
何を考えているのだ、新聞の売り上げが右肩下がりになっている時勢に巨額の広告費を出してくれて、我が社を支えてくれている企業なのだぞ。書きたければ、ヨイショ記事を書けと変な説教をされた。納得いかなかった柏崎は社を辞めた。
ルポライターとなり、海外の戦争の記事を書いた。戦争の悲惨さ愚かさを伝えたかったのだが、あまり記事に興味を持ってくれる人はいなかった。ほとんどの人は美味しいラーメン屋特集や、楽しい遊び場スポットなどの記事に心を奪われていた。何か虚しくなってきて、その仕事も辞めた。
小説なら自分の書きたいように書けるだろうと、小説家を目指すことにした。ペンは心の支えとなる強さがあるのだろう。