運命の赤い糸

運命の赤い糸を、神は今後使わないようにすることに決めた。性の多様化、独身主義などの傾向も著しいため時代背景に合わせようと思ったのだ。
赤い糸を取り止める代わりに、他の色の糸を使うことにした。例えばゲイの人同士だったら青色、レズの人同士だったら桃色という具合である。
しかし中には、やはり運命の赤い糸が欲しいと言う人もいた。そういう人には、認めて赤い糸を結んであげるようにした。
だが結婚してから何でこんな人が運命の人なの、私にはもっと素敵でふさわしい人がいるはずでしょ、と文句を言ってくる人が続出した。仕方がないので糸の切断も認めることにした。
犬や猫などに切断した糸を結び直す人もいた。赤い糸というのは、死後の世界にも生まれ変わりにも適用されるから、この人とずっと一緒にいるくらいなら、ペットといる方が遥かに充実していて楽しいと考えたのだろう。
運命を変える自由も、あるべきなのだろう。