車の運転

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おれは車の免許を取った。子供の頃から車が好きで、車で遠出をするのが夢だった。
誰もがそうだと思うが、教官が隣にいる時だけ猫を被った運転をする。免許を取ってしまえばこっちのものだ。絶対に交通規則を遵守しますという誓約書を書かされた気がするが、それを律儀に気にして守るバカもいない。おれは早速親父の車を借りて遠出をすることにした。
だが自分で自分がおかしいと気づいた。運行前点検を始めたのだ。そんなことをご丁寧にやっている人を見たことがない。不思議な気分になりながら、とにかくやり終えた。
運転席に乗り込み、さあすっ飛ばすかと右足に力を入れても法定速度内のスピードしか出なかった。
どうやら教習所で書かされた誓約書の縛りらしかった。嫌でも教習所で教えられた通りの運転しかできないようになってしまったらしい。
事故が多いとの批判を受けて、魔力のある紙を使うようにしたのか。おれは近くのコンビニに寄り帰った。
その他
公開:22/12/16 10:42

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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