移動する家

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移動する際は家ごと移動できるようになった。渋滞も事故もなく、人が家から降りたら家は空に浮かんで待っているから満車の心配もなかった。
しかし家族の間でも用事によって、行き先が違う。そこで部屋ごとに移動できるシステムに改良された。用事を終えて帰って来ると、また家として引っ付いて一体になるのである。
だが中には家に戻りたくないと、部屋のまま彷徨う人も多かった。子どもの頃なら面倒を見てもらうために仕方なしに家に帰っていたような人も、家族と会いたくないというような状態になると友人同士部屋を引っ付けて気ままに過ごしたりした。
書類作成の時などに家族のサインなどが必要な時もあったが、スマホで送ってもらえばいいのでさほど不自由はなかった。
一人で気ままに漂う人もいたし、引っ付いたり別れたりを繰り返す人もいた。弁当屋、洗濯屋、風呂屋なども流行った。
家族という言葉は、死後になりつつあった。
ファンタジー
公開:22/12/11 22:08

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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