暇乞い（いとまごい）

昼休憩から戻ってくると部下達が儀式を行っていた。一体何だ？
「何って…暇乞いですよ」
暇乞い？
「雨乞いは知ってますよね？あれと同じです。暇が降ってくるよう、天に祈りを捧げているんです」
何をバカな事を…そんな暇があるならとっとと仕事を片付けろ！また休憩時間がなくなるぞ。深夜まで残業させるぞ。いいか、お前らはもっと効率を考えて俺の為に働いて…
説教する俺の肩がポンと叩かれた。
誰だ！？と、振り向くとそこにいたのは笑顔の社長。
「君、えらく忙しそうだね。部下に仕事を押し付けて、君は何をやってるのかな？」
サボってました！なんて言えるわけがない…どうしよう…
社長は真顔になるとわざとらしくため息を吐く。
「君。もう、来なくていいよ」
えっ…それってつまり…クビって事？
ぽかんとする俺を見て、喝采を上げる部下達。
「天からお暇を与えに社長自ら降りて来てくれた！暇乞いが成功した」と大喜びしている。