はなまる先生

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僕は先生のことが大好きだった。
無口で声もボソボソと喋るから他の人からはあまり人気がなかった。でも先生は僕のテストにいつも「はなまる」をつけてくれた。少し難しい問題ができた時には、大きくて綺麗な「はなまる」がついていた。ツヤツヤのテスト用紙に花が咲いたようだった。おかげで僕は勉強が好きになった。

休みの日に、家の庭で作業をしている先生を見かけた。僕は「はなまる」が嬉しかったことを打ち明けた。
「ありがとう。庭を見てごらん。」
先生に促されると、手入れをしている小さな花壇を見せてくれた。
「人の心は花壇と似ているんだ。ただ草花があればいいというわけではない。たった一つでも綺麗な花があればそれを大切に育ててやると、美しく育つ。」

それ以来、花が好きになった。勉強も頑張り、僕は庭師になった。
流石に自分の子供に「花丸」とつけようとしたときは嫁に止められてしまった。
青春
公開:22/12/13 15:30

空飛びペンギン( 関東 )

ご覧いただきありがとうございます。

俳優業の傍ら、趣味でショートショートを製作しています。
田丸先生の書籍を読んでから、楽しく作っております。
ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。


名作文学の朗読Youtubeを行っています。
http://www.youtube.com/@akky_roudoku

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