死神猫

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その日の帰り道、踏切を渡っている途中で体が動かなくなった。

え、なんだこれ?

「これは我輩の能力にゃ。今日、お前はここで電車に轢かれて死ぬ運命なのにゃ。」
「え、猫?」
「猫じゃない、死神にゃ。」
「いや、猫じゃん…。じゃなくて、死ぬって何!?死にたくないよ!助けてよ!」
「無理にゃ。もう決まってる事にゃ。もうすぐ電車が来るにゃ。さよにゃら。」

足元に微かに振動を感じる。
遠くから電車の走る音が聞こえ、大きくなって来る。

「え、マジなヤツじゃん!むりむりむり!」

カーン、カーン、カーン。

遮断機が降りる、もう電車は見える距離だ。

「もうダメだっ!」

その時、急に体が動いた!
走って踏切を渡り切る!
少し離れた所から後ろを振り返る。

「何にゃ?体が勝手に動くにゃ。おーい!人間待て!こっち戻って来いにゃ!」

遮断機のライトの点滅を一心不乱にパンチし続ける猫の姿があった。
SF
公開:22/12/07 10:26

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