エアーリーダー

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場の空気を読む画期的な商品が開発された。その名も「エアーリーダー」。見た目はボイスレコーダーにそっくりで、小型なものだとポケットにも入り隠して携帯できる。
エアーリーダーは早速、重要な会議に臨むサラリーマン、授業や講義を受ける学生、さらには国会や地方議会で舌戦を繰り広げる政治家などの間で重宝された。
エアーリーダーが画面や音声で、その場の空気、つまり雰囲気の内容を知らせ、読めるようになった。
ただ、誰もがエアーリーダーを持つようになって、今度は読んだ空気の解釈について探り合いとなった。そうして互いに疑心暗鬼になった場の空気は澱むようになった。
そこで、その場の重苦しい空気を清浄化するクリーナーがエアーリーダーとともにセット販売された。
空気は綺麗に晴れたが、クリーナーの使い過ぎで空気が掻き消されてしまい、全く読めなくなってしまった。こうしてエアーリーダーで場の空気を読むこともなくなった。
その他
公開:22/12/03 07:03
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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