サンタさんからの贈り物

正直者はバカを見る。その言葉を思い知った。
僕は彼女を愛していた。彼女は僕を愛していなかった。
僕は彼女と一緒になろうとした。彼女は僕と一緒になってくれなかった。
彼女は僕の財産を愛しており、僕の財産とともに駆け落ちをした。
僕は彼女だけでなく全てを失った。僕は一途に彼女を愛していただけなのに…
「メリークリスマス」
落ち込む僕の前に現れたサンタクロース。
ただ、僕の知っているサンタと違い、その姿は闇を煮詰めたように真っ黒だった。
「よい子の君には、とっておきのプレゼントをあげよう」
サンタが袋をどさりと床に置いた。中を開けると彼女が入っていた。
「その子はとても悪い子だ。そんな悪い子をどうしたいか、君に決めて欲しい」
どうしたいか？そんなの決まっている。
彼女は僕の全てを奪ったんだ。僕もまた、彼女の全てを奪いたい。
僕の君に注いだ真っ赤な情熱は、どす黒い感情へと変わってしまったのだから。