食物判断薬

食物判断薬を飲み込む。そうすると食べた物が、体にいい物か悪い物か自分で判断できるようになるのだ。
単に知識だけではなく、自分の体で実感できるのだからありがたいことであった。
ただ美味い物の方が体に悪いと判断されることの方が多かった。そういう場合は当人も気分が悪くなり、食べることを中断した。
まずい物を食べると体にいいと実感することが多かった。皮肉なものであった。
病気になる人は減り平均寿命も伸びた。美味くてボリュームもあるが、クセのある料理を出す店は潰れる傾向にあった。今まであまり流行らなかった少量で体にいい料理を出す店が、流行るようになった。
酒も適度な量しかみんな呑まなくなった。それで荒れる人もほとんどいなくなった。
スポーツ選手や肉体労働者などには、それに合わせた薬を処方してくれた。ますます力を発揮できるようになった。
食べることだけが楽しみという人が減り、真面目な人が増えた。