入れ替わりリモコン

ある博士は変な物を発明した。自分の顔写真をリモコンに入れ込みテレビに向かってスイッチを押すと、テレビの中の人物と自分の顔とが入れ替わるのである。
憧れの女優と共演しているような陶酔に陥り、悦に入るのであった。
しかし博士はこの発明を、世に発表しようとは思わなかった。著作権とかややこしい問題が起こりそうだし、何より自分一人だけで楽しみたかった。こんな趣味を知られるのが少し恥ずかしくもあった。
ところがある日博士の家は泥棒に入られた。現金と物が盗まれたが、その中に先日発明したリモコンもあった。
警察に届けたがリモコンの存在は恥ずかしくて黙っていた。泥棒も使い道は分からないだろうし、分かったとしても自分のように他愛もない使い方をする分には、害はないだろうと思ったのだ。
しかし泥棒はずる賢かった。リモコンの使い方を見抜き防犯カメラに別人の顔が映るようにしたのだ。
泥棒は荒稼ぎし無実の人が捕まった。