秋時雨

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もうすぐ秋は終わる。今日は雨が降って来たがすぐに止んだ。秋時雨だ。
「えー、すぐ止んだ。せっかく傘持ってきたのに」
駅まで彼女を迎えに行ったというのに、傘は必要なかった。
「あれ?どうしたの?」
彼女が駅から出てきて不思議そうに言う。
「雨降ってたから傘持ってないだろうし、迎えに来たんだよ」
「ありがとう。気が利くね」
「お腹の中の子に何かあったら困るだろ?」
「ふふっ、そうね」
彼女は妊娠していた。俺の子……ではない。俺は……彼女の事が好きだが、想いを伝えられなかったヘタレだ。結局、他の男に彼女を盗られてしまった。
「宍戸君は優しいね。宍戸君みたいな人が彼だったらよかったのに」
「あ、あのさ……」
言うんだ。今度こそ。子供が出来た瞬間に逃げたあのクソな男の事なんか忘れて、俺と一緒に子供を育てようって。
「何?」
「俺じゃダメか?」
言いたい事全て言い終わると、強かった彼女は初めて泣いた。
公開:22/11/30 09:41

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1000作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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