心くすぐる香り

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人里離れた山の中に老猫介護ホームが存在する。
ここは年老いて、認知症になってしまった猫を預かってくれる施設で人間は一人もいない。ここで働く者は皆、猫又である。
猫又とは認知症を患い、これまでの全てを忘れ、妖怪として目覚める事でなれるらしい。
つまりここは猫又になる手伝いをしてくれる施設とも言える。
だが当然、猫又になれず老衰で亡くなる猫もいる。そうした猫達はこの施設で手厚く葬って貰える。

私は今日、お墓参りにやってきた。愛猫の墓前に猫缶を供える。
「私が帰った後、皆さんで召し上がって下さい」と言うと職員の猫又が嬉しそうに笑った。
その笑顔を見て、胸がキュッと痛む。愛猫は死んでいない。猫又として、第2の猫生をここで歩んでいる。
私はその姿を見られるだけで満足だ。
帰りに猫又となった愛猫がお礼にと私に自身の抜け毛で編んだぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
懐かしい愛猫の香りに私の頬は緩んだ。
公開:22/11/22 20:45

幸運な野良猫

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