心くすぐる香り

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紅く色づき始めた秋の山に今日、祖父を置いてきた。
虐待ではない。祖父は毎年この時期になると12月下旬まで山に籠る。
当然不安もあるがこれは大切な儀式である。山籠もりに耐えられなければ祖父は仕事を失う。
「この仕事は儂の誇りじゃ。今年も乗り越えてみせるぞ」
そう言って皺だらけの手で私の頭を撫でてくれる祖父。胸が痛む。

1週間後。祖父から荷物が届いた。
栗や松茸といった秋の味覚が詰め込まれた箱。今年の山籠もりも順調なようでホッとする。
1カ月経つ頃にはジビエ肉まで届くようになった。癖のある食材の香りに心がくすぐられる。
これで祖父はマタギではないというのだから驚きだ。
では祖父の仕事は何かというと…実はサンタクロースである。
秋の山に入っては紅葉と共に自身を紅く染める。山での暮らしで体力をつける。トナカイを捕まえ、ソリを作る。
そしてクリスマス後にプレゼントの入った袋を担いで家に帰ってくる。
公開:22/11/21 20:39

幸運な野良猫

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