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私は一人の少女をじぃー―と陰から見つめていた。
下手をすると不審者として近所から通報されるかもしれない。
でも、どうしてもその少女の動向が気になったのだから仕方ない。
あの子、友達と喧嘩してないかしら?もしかしてお金に困っていないかしら?
色んな心配が浮かんでは消え、浮かんでは消えた。
私はその少女のために何かしてあげたいと思った。
しかし、私は少女の前に顔を出す資格がない人間なのである。
私は五年前の冬、この教会の前にあの子を捨てたのだから。
その当時はその方がこの子のためになると信じていたからだ。
私の結婚した男性は毎日、暴力を振るう人だった。
その上、どこかで借金を作って来る酷い人だった。
もう限界だったのだ。このままではこの子は不幸になる。そう直感した。
だから良かれと思ってあの子を捨てた。言い訳に聞こえるかもしてないが。
ああ、せめてあの子をもう一度、ぎゅーと抱きしめてあげたい。
公開:22/11/21 12:05

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