嘘の結果

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「好き、じゃない」
彼への気持ちを封印した。
昭和の面影を残しているらしい喫茶店の奥に設けられた4人掛けのテーブル席で、私の前に座る彼は悲しそうな表情をし、その隣に腕を組んで座る女は勝ち誇った笑みを浮かべた。
 あれから5年が経った。
 街を歩いていると、通りの向こうを彼と彼女が歩いているのを見かけた。
 彼と結婚した彼女は老婆のようになっている。たしか私と同い年のはずだから、まだギリギリ20代のはず。
 ヒモ男の彼とは決別すると決心したのは正解だった。
 そう思おうとする私の左手の薬指には何もはまっていない。
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公開:22/11/25 20:55

志雨

2021年3月に小説を初めて完成させました。いろいろなジャンルのショートショートを書いていきたいと思います。
 

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