ぎゅーっ

今日は勤労感謝の日。日々の仕事でさぞ疲れているであろう夫をマッサージ店に連れてきた。
夫と並んでマッサージを受ける。ぎゅーっとツボを押されると思わず声が出てしまう。痛気持ち良い。
まるで全身を絞るかのような施術に”疲れ”が塊となって口から吐き出される。
それを見て、私は夫にお互いの疲れを交換してみないかと提案した。
夫は意気揚々と「俺の日々の疲れに音を上げるなよ」なんて言ってきた。
夫の疲れを口にする。…うん。耐えられない程ではない。
仕事が終わるとダラダラできるし、酒を飲んで忘れられる程度の疲れだ。
私の疲れを口にした夫を見る。いつも以上に疲れた顔をしていた。
「家事や育児って、こんなに大変なの？」
夫がやっと私の苦労を理解してくれた事に、胸がスッとした。

この日を境に、夫が家事育児にも協力してくれるようになった。
「ありがとう」と言い合っては毎晩一杯のお酒でお互いを労う習慣が出来た。