心くすぐる香り

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花のような香りが鼻先をくすぐる。良い香り…一体何の匂いだろう?
匂いに誘われ、ふらふらと森へと足を勧める私を祖父が引き留めた。
「そっち行っちゃアカン。妖精に誘われとる」
妖精?祖父は何を言っているのだろう?そんなものいるわけがない。
祖父の制止を無視して森の中へと入る。
香りが一段と強くなってきた。この匂いを嗅いでいるととても幸せな気持ちになってくる。
森の中を進み続けると好きなあの人が私に手を振っていた。あの人は先月結婚し、こんなところにいるわけがない。
だけどそんな事はどうでもいい。あの人が待っている、あの家に帰らなければ。
私は愛しい人の手を取り、いい香りのする家の中へと入った。

気が付くと鉈を持った祖父が目の前に立っていた。ここ…どこ?
「お前さん、あれに誘われて飲み込まれちょったぞ」
祖父が指差すそれを見る。人を丸呑みできそうなほど大きな食虫植物が無残に切り捨てられていた。
公開:22/11/23 20:42

幸運な野良猫

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