穴ひとつ

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人を呪わば穴二つと言うが、それが適応されない社会になった。呪っても自分に還ってこないばかりか、因果応報による呪いなら適切に加害者が呪われた。
被害に遭った人はすぐに加害者を呪った。その報いを受けた加害者は大けがをするか死ぬか、警察に捕まるかした。やがて悪いことをする人はほとんどいなくなった。
人に呪われてはたまらないと、みんな人に優しく接するようになった。人間関係は良好になっていった。
しかし何故か文明の進歩が途絶えがちになり、経済も停滞しがちになった。呪いのとばっちりを受けてはたまらないと、みんなが委縮したせいかもしれなかった。
今までは理不尽な目に遭ったり辛い思いをしても、いつまでもそんなことに拘っていても仕方がない。前向きに頑張ろうと励んでいたのが呪いが成就することによってカタルシスが終了してしまうのでモチベーションがかからなくなっているのかもしれなかった。
ある意味天国に近かった。
その他
公開:22/11/19 01:03

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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