心くすぐる香り

小学生の頃、私はいじめられていた。そんな私を助けてくれたのはトイレの花子さんだった。
トイレに閉じ込められた私を助けてくれて、友達のいない私の話相手になってくれた。
勉強で分からない所があれば教えてくれたし、私の知らない学校の事を沢山教えてくれた。
嫌いになりそうだった学校が花子さんのおかげで好きになれた。
花子さんからはいつもいい香りがしていた。
芳香剤？と聞くと物凄く怒られた。
香水を取り出した花子さん。それを私にくれた。
香水をつけると花子さんが近くにいるみたいで心強くなれた。
私が教師になったのは、そんな花子さんみたいになりたかったから。
今の私を見たら、花子さん驚くかな？
そんな事を考えていたら、女子トイレから懐かしい香りがした。
目を向けると昔の私にそっくりな女の子が嬉しそうに個室に入っていく姿を見た。
個室の前に立った私は昔と少し違う言葉を口にする。
「花子さん、ありがとう」