パロディストーリー『てんねんけしょうすい』

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 むかーしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
 おばあさんが川へ洗濯に、おじいさんは山へ柴刈りに……と見せかけて趣味の川釣りに行きました。
 おばあさんが川で洗濯していると、川上から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと、流れて来ました。
「おや、こんなに大きな桃が……。おや、中から人の声が聞こえるわ」
 おばあさんは桃を石包丁で割ってみると、中からなんと、肌が煌めらかに艶々のおじいさんが出てきました。おじいさんはびっくり、舌をもつれながら話しだしました。
「お、お。おばあさん。この桃の中はすごいぞ。果肉から溢れる瑞々しい果汁が肌を潤してくれる。こいつに竿を引っ張られどうなるかと思ったが、ぜひ、持って帰りたいな」
「それはそうと、おじいさんや。柴刈りは?」
 おばあさんはおじいさんをしなしなの果実のようにこってり絞り、家で桃の果汁を浴びて、艶々になりましたとさ。
ファンタジー
公開:22/11/21 18:00

好太郎

主に小説投稿サイト「即興小説トレーニング」にて執筆した自作品を、推敲したものを投稿します。
他小説サイト「小説家になろう」でも同様なことをやっています。

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