心くすぐる香り

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玉手箱を開けた浦島太郎は中の香炉を取り出した。
火を点けると香炉から登る煙が太郎を包み込む。
煙は太郎に竜宮城での思い出を見せた。次いで地上の思い出を見せた。幼少期の思い出を見せた。
煙に巻かれながらその様子を見つめる太郎。
思い出が終わり、煙が晴れると太郎は再び香炉に火を点ける。
帰る場所はない。知人もいない。太郎は一人、香炉に火をつけては思い出に浸っていた。何年も何十年も思い出に生き続けた。
気が付けば太郎は老人になっていた。老人になっても一人、ずっと思い出に浸っていた。
そんな太郎に一羽の鶴が声をかけてきた。
「私と体を交換しませんか?私の翼があれば、水平線の向こうにある竜宮城まで飛んで行けます。私は人間の姿で、恩返しに行けます」
太郎は鶴と体を交換した。若い女へと姿を変えた鶴。美しい鶴へと姿を変えた太郎。
太郎は空を飛んだ。香炉の香りが導くままに水平線へと向けその翼をはためかせた。
公開:22/11/19 21:00

幸運な野良猫

yahoo!サーバーに問題が発生したらしく2022年9月1日より2週間入れなかったので新規にアカウント取得。
半年以上毎日Yahoo!IDでログインを試みるも、現在進行形でログインできない状態です。#EY003って何だ?
運営に報告するも、ずっと無視されております。自動応答メールだけが返ってくる…1年経過で、もう諦めた…

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