じゃんけん

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 高校からの帰り道、神社の入り口にさしかかった。徒歩通学の俺と彼女は、この神社の境内を抜けるのが近道だ。
 彼女は境内へ続く階段を一段上った。
「じゃんけん、ぽん。勝った。パ、イ、ナ、ツ、プ、ル」
 やると言ってないのに勝手に始められた。1歩目を足踏みしたのはフェアなつもりらしい。
「じゃんけん、ぽんっ。あー負けた」
 仕方がないから付き合ってやるか。
 楽しそうな彼女の姿に頬が緩んだことには気づかないふりをする。
「チ、ヨ、コ、レ、イ、トっと」
 彼女は隣に並んだ俺を見上げてきた。
「じゃんけん、ぽん。勝った。グー。グ、リ、コ」
「えっ、グリンピースじゃねえの」
 彼女は3段上がって振り返った。
「いいの、グリコで。だって、顔の高さそろうじゃん」
 少しだけ視線を落とした彼女がゆっくりと顔を近づけてきた。
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公開:22/11/14 18:00

志雨

2021年3月に小説を初めて完成させました。いろいろなジャンルのショートショートを書いていきたいと思います。
 

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