てんとうむしの道案内
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夜道を歩いていると、ふと私の目の前が明るくなり、後ろを振り向くとくすんだ黄色の色をした小さな車があって、丸いヘッドライトがその光源だった。
ただその車は私を追い抜こうとも煽ろうともせずに、私の歩調に乗せて、トクトクトクトクと排気を奏でていた。とはいえ、車の前の遮るのは忍びないと思い、脇に避けようとすると、その車がピーっ! と、呼び止めるようにクラクションを鳴らした。その時気づいたのは、避けようとした先には無数の光が黄色い車を追い抜くように、叫びながら何度も何度も走って去っていた。もし、あのまま光の中に入ったら、光に拐われてどこか遠くに連れ去られてしまったのかもしれない。
私は黄色の車を背中にゆっくりと歩いた。ようやく自宅に着いて後ろを振り返ると、真っ黒の夜道が静かに伸びていた。ふと自宅のシャッターが開けっ放しの車庫を覗くと、黄色の愛らしい車体は変わり果て、枯れ木のように錆びていた。
ただその車は私を追い抜こうとも煽ろうともせずに、私の歩調に乗せて、トクトクトクトクと排気を奏でていた。とはいえ、車の前の遮るのは忍びないと思い、脇に避けようとすると、その車がピーっ! と、呼び止めるようにクラクションを鳴らした。その時気づいたのは、避けようとした先には無数の光が黄色い車を追い抜くように、叫びながら何度も何度も走って去っていた。もし、あのまま光の中に入ったら、光に拐われてどこか遠くに連れ去られてしまったのかもしれない。
私は黄色の車を背中にゆっくりと歩いた。ようやく自宅に着いて後ろを振り返ると、真っ黒の夜道が静かに伸びていた。ふと自宅のシャッターが開けっ放しの車庫を覗くと、黄色の愛らしい車体は変わり果て、枯れ木のように錆びていた。
ホラー
公開:22/11/14 12:00
主に小説投稿サイト「即興小説トレーニング」にて執筆した自作品を、推敲したものを投稿します。
他小説サイト「小説家になろう」でも同様なことをやっています。
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