セーブポイント

「俺達、やり直さないか？」
偶然再会した元彼の言葉に私は少し考える。
フリーランスな彼との生活は安定とは無縁だった。
毎日明日に不安を持っていたし、毎日昨日を後悔した。でも毎日が楽しかった。
今彼とは安定した生活を送っている。平凡で幸せな毎日。それ故に刺激が足りない事を不満に思っている私がいる。
セーブポイントを確認する。元彼とはやり直す機会を１つも作っていない。
当然だ。彼と一緒にいて安全を感じた事はないのだから。
今彼は安全だ。セーブポイントもきっちり残している。
…それなら一度くらい元彼と出会う前にロードして、もう一度元彼との生活を楽しむのも悪くな-

危ないところだった。僕はセーブポイントを使い、今朝をロードする。
これで彼女に元彼と再会した記憶はないし、元彼と再会する今日のルートを回避させる事が出来る。
それにしても１８４９３回目のロードか…運命の相手ってのは思った以上に厄介だ。