好事漬者（こうずけもの）

私は好事家の人に話を聞く時、必ず「何漬けですか？」と質問する。
意味が分からないといった風な者は浅漬けの好事家だ。にわか仕込みの一夜漬け。オリンピック等で騒ぐ若者に多い。
その点、御年配の方はよく分かっている。「何漬けですか？」の質問に「梅干しです」と答える。
酸いも甘いも知った好事家の知識には思わず涎が出る。
若者でもぬか漬け仕込みで、ちょっと鼻につくがいい味をした好事家もいる。こういう好事家が世界をかき回すのだ。
意味を深く求める味噌漬けの好事家は辞書好きが多い。日本語の本質に迫るその知識は風情がある。
ピリッとさせるからし漬けの好事家は嫌われる事も多い。だが一度その虜になってしまえば梅干し同様、何度も口にしたくなる知識だ。
同じ事を何度も話す酢漬けの好事家は正直苦手である。
と、そんな事を話す私はキムチの好事家だ。
ひらめきの発光（発酵）と周りを巻き込む参加（酸化）が持ち味である。