死因はダイイングメッセージ

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 俺は殺されたらしい。息子の三男、タンスケに頭の後ろのところを殴られたのだろう。
 頬に何かが後ろからつたってきた。俺の血液だ。そうだ。せめて俺が死ぬ前にダイイングメッセージを残そう。
 俺は血液を指に付け、床に書きだした。

『寿限無寿限無 五劫のすりきれ……』

 ここで俺は気付いた。息子の名前を書くのに血液のインクが足りない。
 いや、簡単なことだ。傷口をちょっとだけ絞れば簡単にインクができる。さっそく傷口から絞り出した血液を指に付けた。

『水行末雲来末風来末 食う寝るところに住むところ……』

 くそ、最後の『短介』まで書くのにまだ血液が足りない。
 いや、まてよ。よくよく考えたら息子たちの名前の違いは最後の『長介』『中介』『短介』だけだ。別に名前全部書く必要はなかったじゃないか。
 俺は自分のこれまでの愚行に呆れ笑いながら、最後の字を書くために傷口を思いっきりえぐった。
ミステリー・推理
公開:22/11/11 12:00

好太郎

主に小説投稿サイト「即興小説トレーニング」にて執筆した自作品を、推敲したものを投稿します。
他小説サイト「小説家になろう」でも同様なことをやっています。

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